白内障
2015/03/29
白内障について
白内障(cataract)は、水晶体が灰白色や茶褐色ににごり、物がかすんだりぼやけて見えたりするようになる眼科疾患。
機序
白内障とは、さまざまな原因で水晶体が混濁する疾患で、水晶体病変のなかで最も多い。濁ることで瞳孔が白く見え、かすんで見えるようになる。
加齢に伴いゆっくりと進行する老人性白内障が80~90%を占める。
症状
①視力障害(視力低下、霧視)
②羞明感
③頭重感・眼痛
④単眼複視 片方の目で見た時複視が生じる
⑤近視 核白内障のように、核の硬化が強度の時に生じる
⑥眼精疲労
原因
①老人性白内障
加齢によって起こる種々の機能障害が原因
②先天性白内障
原因不明であることが多く、20%は遺伝性。母体の放射線被曝、薬剤の内服、風疹ウイルス感染など
③併発白内障
眼内疾患を起因として生じる。ぶどう膜炎、緑内障、網脈絡膜炎、眼内腫瘍などを原因疾患とする。
④術後合併症
⑤代謝性白内障
糖尿病や皮膚疾患、アトピー性皮膚炎
⑥その他の原因
外傷、放射線被曝(紫外線、赤外線)、感電、ナフタリン、アルカロイド、コルチコイドなどの薬剤
検査
①視力検査
②細隙灯顕微鏡検査
③グレア(まぶしさ)テスト
④眼底検査
⑤その他
眼底の透過が困難なときには、網膜電位図(ERG)、フリッカー値、視覚誘発電位(VEP)、対光反射、超音波画像診断など
治療
いったん白内障が進行して水晶体が混濁すると薬などで元の透明性を回復することはできません。
①薬物療法
あくまでも混濁の予防や進行を遅らせる目的
<抗白内障薬 点眼薬>
ピノレキシン製剤(カタリン、カタリンK、カリー、カリーユニなど)
キノン体で惹起される水晶体蛋白変性をピノレキシンが阻害し白内障の進行を予防するとされる
グルタチオン製剤(タチオン、ノイチオン、チオグルタン、グルタチオン、イセチオン、ピネチオンなど)
水晶体蛋白SH基がSS結合となり不溶性蛋白となるのを還元型グルタチオンが阻害して白内障を予防する
<抗白内障薬 内服薬>
唾液腺ホルモン製剤(パロチン) 間葉系組織の疾患に有効とされ白内障進行予防にも有効とされる
チオプロニン製剤(チオラ) 水晶体蛋白のSH基保護作用、解毒作用、代謝酵素賦活作用
アルドース還元酵素阻害剤(キネダック) ポリオールが水晶体に蓄積するのを阻害。主に糖尿病性白内障に有効とされる
②外科的治療
・水晶体囊内内摘出術
・水晶体曩外摘出術
③視力の矯正
・メガネ
・コンタクトレンズ
・眼内レンズ
予後
白内障以外に眼疾患を併発しているかどうかに左右される。白内障だけであればかなり進行していても、手術によって視力はほぼ回復可能である。先天性白内障で混濁が強く、視力障害が大きい場合は、早期に治療しないとものを見る刺激が阻害され、脳神経細胞萎縮・変性が生じ、不可逆性の弱視となる
看護
#健康状態に関連した不安
①観察
不安の内容と程度、疾患・症状・治療に対する認識と理解、日常生活の状況、術後の経過、家族からの情報)
②信頼関係確立のための援助
③リラックスできる環境整備
④睡眠の調整
⑤疾患、治療、検査についての説明
#手術後の感染のリスク
①観察
(術後の経過と治療計画、術後の状況に対する認識と理解)
②指示に基づく点眼・内服の使用
③点眼の介助
④眼の安静・感染予防の必要性についての説明
⑤日常生活上の注意点についての説明
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